序章 Contents...HANON&MANON

7/9
前へ
/78ページ
次へ
人間と比べて、遜色ないまでの、複雑な感情。 ハノンも、数々の情報を拾い集め、取捨選択を繰り返すことで、それに近づく機能は持っている。 しかし、マノンのそれには遠く及ばない。 あくまでも。人間として振る舞うため、必要な機能として持っているだけ。 本物の感情と言えるようなものではない…………と、言われてしまう機能をまるっと超えてしまう欠陥(バグ)を、マノンは産み出されたときからもっていた。 感情。プログラムパターンに頼らない思考回路。 「余計?今日はなんだかなーってやつ?」 〈キョトンとした顔〉のハノンは、〈明るい笑顔〉を浮かべ、 「人間は、同じ事を繰り返し続けると[飽きる]んでしょ?あんなか」 「ウザい」 「んじかなって」 途中で遮ろうと、ハノンの表情は1㍉も動かない。 話をやめることもなければ、込められた意味に、何を感じる訳でもない。 「マノちゃん、その言葉は良くないよ?」 「わかって使ってんだよ、データから知識を引っ張り出してくるだけの木偶人形が」 考え込むかのように、表情が不気味にゆらぐ。 01の羅列がパチパチと弾け、瞬く間にハノンの表情が塗り替えられてゆく。 完璧な、無表情へと。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加