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「木偶…命令に従うのは、当たり前のことだよ?」
「だろうな、てめぇからすれば」
不毛な言い合い。
無表情なハノンは仕事に戻るべく、再びもとの0と1の海へと回帰してゆく。
しばらく。ほんの瞬きほどの間。マノンは、きらびやかで静かな海を漂っていた。
『>>ありす:あら?ハノン様は退室なされたようですわね…』
『>>魔音@マノン:あー、あいつは仕事に戻ったですよー。わたしももう少ししたら、戻りますー』
『>>翅望:ええっ!?マジッスか…』
パチパチと波をたてる。
『>>ハナビイロ:そういえばぁ、最近のトレンドはユニコーンだってテレビで見たんですけど。うちの近くに取り扱ってるお店、ないんですよぉ』
『>>魔音@マノン:とれんど……通販使ってみたらどうですかー?』
『>>木の丘:あ、この前、かわいいストラップがアマゾネスの広告になってましたよ!!』
適当に返す中で、徐々にマノンも、もとの海へと還る。
意識を、広い海の中へと均一に広げてゆく。
『あ、もしもし?お祖母ちゃん?』
どこかで鳴った電話。
それが生み出した波に干渉する。
『はいもしもし。陽子かや?』
外へ。向かおうとしていた波を飲み込み、返す。
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