【死を運ぶメール】

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向かうのは、別棟にある茶道同好会の部室。 総勢三人しかいなかった同好会は、今は私一人になってしまった。 それでも、あそこに行けば、あの二人に会えるような気がして、毎日欠かさず私は一人で足を運ぶ。 階段を降り、渡り廊下を歩いていると向こうから、白衣姿のメガネをかけた人物が、のんびりとした足取りで歩いてくるのが見えた。 大型草食獣のキリンを彷彿とさせる穏やかな風貌と優しげな笑顔が癒し系だと、密かに女子に人気がある、生物教師の二階堂先生。 私の姿を認めた彼は、すれ違う時、穏やかな声で、諭すように言った。 「早く帰りなさい……」 私は、唇をギュッと噛んで、軽く会釈をしただけで、小走りに目的地に向かう。
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