第2章

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「…………………本当に、惜しい人を無くしたものだね。」 「…………………はい。」 母親の初盆。史弥の親父さんが、供養のためアパートに訪れた。 「そういえば、上総くんは、史弥と久しぶりに会ったんだったね。どうだい、変わってたかい。うちの息子は。」 「ーーーっ、いえ………。昔のままでした。」 おじさんに突っ込まれて、まるでこの前の事を知られているように感じてしまう。 そんな訳がないのに。 中学のあの日。目が覚めたら、もう史弥の姿はなかった。 次の日、学校で会った史弥はいつもと変わらずだった。 あの情事が、夢であったのかと思えるほどに。 だけど、シャツから際どい位置に見える、あの時無意識につけた赤い跡が夢じゃなかったことを告げていた。 そして、あの事は封印されたまま。 俺達は卒業し、離れ離れになった。 「あれももういい歳だし、そろそろ身を固めてもらわないと………。いい話はあるんだが、なかなか決まらないんだよ。」 「……………そうですか。」 おじさんの何気ない話が、俺の胸を締め付ける。 ほら、こうやって。 お前と会わなくても、俺はお前の事を人を介して聞かされる。 俺は、これからもこうやって1人胸を痛めて生きていくんだろう。 果てしない。長い人生を。たった1人で。 だけど、現実は。 それより酷く、俺を地獄へ落とすことになる。
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