第1章

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「ーーーーっ!上総っ、何を……っ、」 「……………分からない。」 誘われるまま、俺は、後ろから史弥を抱き締めた。 変わらない。昔と。 「…………上総、ダメなんだよ。仕方が無いんだ…….」 「…………分かってる。」 前と状況は、ちっとも変わってない。それでも。 「あの時は、お前の願いを受け入れた………。 なら、今度は俺の願いを受け入れてくれ。」 「上総っ、」 「お前の中に、俺のモノ何一つ残さない。お前の衣装も汚さない。ーーーだから、今だけ。」 抱き締めた腕に、これでもかってくらい力を込める。 「何もかも忘れて、俺だけを見てくれ………っ。」 「ーーーーかず、さ。」 俺の悲痛な叫びが届いたのか。史弥は俺の腕に自分ので包み込むように添えて。 「………今、今だけだ。今だけ………っ、」 小さくそう呟いて。振り向いた史弥は、その手で俺の両目を隠して、唇を重ねてきた。 隠される瞬間、見えたのは、涙で濡らした赤い目だった。 「ーーーーっ、~~~~っ!」 声を出そうとしない、史弥。それでも俺に揺らされる度にビクつく体は抑えられないようで、それがまた俺を煽る。 「史弥…………っ、俺、もう、イキそう………。 史弥は…………っ?」 そっと、史弥のに触れると、そこはもう限界が来ていることが分かる。 「……………っ、……………っ、」 無言で頭を縦に振る史弥に、頑なに声をだそうとしない史弥に、無理やりにしてやりたい感情が生まれるが、これが最後なんだと。自分でぶち壊すことは出来ないと。冷静な自分が、攻撃的な俺を諌める。 「ーーーーー…………史弥っ!」 「ーーーーっ、ァツ………。」 微かに聞こえた、史弥の声。 もう、一生聞くことのない、甘い声。 「……………………………。」 身なりを整えた後、史弥は黙って帰って行った。 俺たちの未来は、決して交わらない。 史弥が、史弥である限り。
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