第2章

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「………上総、君が好きだ。」 「……知ってるよ。」 中3の冬、史弥から告白された。 自惚れじゃない。本当に知っていたんだ。 俺たちは、両思いだって。 「……………でも、駄目なんだ。」 「…………………うん。」 それも。知ってるよ。史弥。 何時からだろうか。 史弥から、友情じゃない視線を向けられている事に気付いたのは。 そして。 それを伝えてくる気が、史弥にはない事にも気付いていた。 それでいいと、思った。 俺も、史弥が好きだったけど。 史弥が伝えてこない理由を知っていたから。 史弥は、寺の息子。大事な跡取りだ。 高校も、俺とは違う、仏教系の高校に進む。 そして、将来はお寺を繁栄させる為、関係者と婚姻を結び、自分と同じような跡取りを作るのだろう。 史弥の、進むべきレールは決まっている。 決して、外れることのない真っ直ぐ伸びたレール。
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