55人が本棚に入れています
本棚に追加
「………上総、君が好きだ。」
「……知ってるよ。」
中3の冬、史弥から告白された。
自惚れじゃない。本当に知っていたんだ。
俺たちは、両思いだって。
「……………でも、駄目なんだ。」
「…………………うん。」
それも。知ってるよ。史弥。
何時からだろうか。
史弥から、友情じゃない視線を向けられている事に気付いたのは。
そして。
それを伝えてくる気が、史弥にはない事にも気付いていた。
それでいいと、思った。
俺も、史弥が好きだったけど。
史弥が伝えてこない理由を知っていたから。
史弥は、寺の息子。大事な跡取りだ。
高校も、俺とは違う、仏教系の高校に進む。
そして、将来はお寺を繁栄させる為、関係者と婚姻を結び、自分と同じような跡取りを作るのだろう。
史弥の、進むべきレールは決まっている。
決して、外れることのない真っ直ぐ伸びたレール。
最初のコメントを投稿しよう!