第2章

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「分かってる……。こんな事しても、何か変わるわけじゃない。」 思い詰めたような、史弥の表情。 こんな切羽詰った顔は、初めて見るかも知れない。 「だけど、これからの長い時間。自分は我慢していかなきゃいけないって思ったら………、凄く堪らなくなったんだ。」 史弥が言わんとしてることが、分からない。 それより、俺は、何で史弥に押し倒されてるんだ? この状況の説明を、誰か理解してるのならして欲しいくらいだ。 「史弥、お前どうし……。」 「ーーーー上総………っ!」 俺の両手首を掴んでる手に、力をギュッと込めて。 俺の言葉に被せるかのように、史弥が俺の名を呼ぶ。 その表情は、先ほどより硬く暗く。何処か辛いのかと思うくらいに、歪んでいる。 「ねえ、上総………っ。最初で最後の我儘なんだ………っ。今だけでいい。どうか、拒絶しないで……。受け止めて欲しいんだ………っ!」 「史弥……、お前、本当にどうしたんだ…………。」 少し、恐怖を感じてしまうほど。今日の史弥は、おかしい。 「…………上総。」 史弥の目が、段々潤んでくる。下唇を歯で噛んで、我慢しているように感じたが、こらえ切れなかった涙が落ちて。ポツリと、俺の頬を濡らす。 「お願いだ……………、上総。 1度だけでいい。俺を抱いてくれ。」
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