六月二十八日

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「×××!×××!どこ?」 男は青年の名前を呼びながらふらふらと歩いていく。 いまにも人混みに紛れてしまいそうだ。 チッ、と舌打ちをする。 そして、気づかれないように男の背後の回ると、 「うっさい、バカ兄貴!」 と怒鳴り、男の腕を掴んだ。 「え、うわぁ!?」 そのまま男が振り向く間も与えず、ぐい、と腕を引き、まだ開いていた電車の扉に男を投げ入れた。 無人の車内に男が転がる。 それと同時にプシュー、と扉が閉じた。
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