六月二十八日

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「なにするんだ、×××!痛いだろ!」 すぐさま起き上った男が青年に食ってかかる。 青年の米神に青筋が浮かんだ。 この兄は本当に変わっていない。 「うっさい、黙れ!もとは兄貴がこっちに来ようとするからだろ!」 「別にいいだろ、僕だってこっちに来たって!」 「まったくよくねーよ!とにかくまだこっち来るな!とっとともとの場所に戻りやがれ!」 青年の怒鳴り声に背を押されたかのように電車が動き出す。 ただし、進行方向はホームに入ってきたときとは反対だ。 「~~~!~~~~~~~!」 兄が何事かを叫んでいるようだが、電車の動く音でなにを言っているか聞こえない。 電車はあっという間に遠ざかり、闇の中へと消えていった。 「あんだけ元気ならここに来るなんて考えるなよ。あんたまでいなくなったら親父もおふくろも一気に老けちまうだろ」 あれほどごった返していた人は消え、一人だけになったホームに青年の呆れた声が響く。 被っていたフードはいつの間にか外れていた。 あらわになった顔に血の気はなく、まるで死人のようだ。 「そうかい?人間の考えてることなんてホントわからないもんだよ?」 不意に、背後から女の声がした。
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