5人が本棚に入れています
本棚に追加
ピロン♪
重苦しい空気を一気に壊すような軽快な音が鳴った。
正体は言わずもがな、青年の携帯の着信音だ。
「このタイミングだと気が抜けるねぇ」
女の呆れた声を無視して青年はメールを確認する。
《送信者:鬼頭
題名:すまん
車掌が足りん。
いますぐ六番線のホームに来い。 》
「悪ぃ、仕事入った。話はまたにしてくれねーか?」
「仕方ないねぇ。この続きはまた今度、どこかゆっくりできる場所でしようかしら」
「それは遠慮する」
「あら、残念」
心底いやそうな顔をする青年に女は愉しそうに微笑む。
それを見て顔を顰めた青年はそのまま歩き出し--しばらくして突然振り返った。
最初のコメントを投稿しよう!