六月二十八日

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改札を通り、階段を上って駅の外へと出てみれば雨が降っていた。 近年増加しているらしいゲリラ豪雨ではなく梅雨時らしい、しとしととした雨。 そういえば今朝ちらりとみたニュースで夕方から雨、と言っていた気がする。 急いでいたから聞き流していたし、乗っていたのは地下鉄で、外の様子もわからなかったからいまのいままですっかり忘れていた。 「あ、やべ。傘持ってねぇ」 こうした梅雨時の雨は長時間降り続ける。 しばらく待ったところで雨脚が弱まることはないだろう。 どこかで傘を調達したいところだが、あいにく近くには売店もコンビニもない。 青年は重いため息を一つ吐くと着ていたパーカーのフードを被り、屋根のあるところまで走ろうとした。 ピロン♪ ジーンズのポケットに入れていた携帯が振動する。 青年は動きを止めた。 鳴ったのはメールの着信を告げる音。 しかし、青年が動きを止めたのは携帯をチェックするためではなかった。 「なんで……」 フードからわずかに覗く顔は蒼い。 ピロン♪ 固まる青年に追い打ちをかけるように再び着信音が鳴る。 それでも、動くことはできなかった。
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