六月二十八日

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ガタン、ゴトン、 なにか重いものが揺れる音と規則正しい振動で男の意識が浮上した。 ぼんやりとまぶたを上げると自分がいるのはいつもは利用しない地下鉄の車両の中だということがわかった。 なぜか床に転がっていたために身体の節々が痛んだ。 スーツに着いた汚れを払って立ち上がると座席に座る。 そうして大分回るようになった脳が意識を失う前の出来事をようやく思い出した。 「あーあ。だめって言われちゃったよ」 久しぶりに会った弟。 その姿は【あの日】からまったく変わっていないように見えた。 ただ一つ、肌が異様なほど青白くなっていた以外は。 「……あれが【あっち】に残った影響なのかな」 ぽつり、と呟いた言葉は車両が揺れる音にかき消された。
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