六月二十八日

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電車を降りた者が---鬼事に参加した者がどうなるのかについての情報はなかった。 しかし、最近鬼事電車に迷い込んだと言う人物がした書き込みに颯太は目を瞠(みは)った。 《電車の外を覗いたときにオレ以外のやつがいた。フード被ってたしちょっとしか見てないけどたぶん若い男。鬼から逃げてる感じじゃなくて普通に歩いてた》 詳しい特徴もなく、そもそも情報の真偽も定かではないけど、颯太はそれだけでその人物が弟だと確信した。 それからまた、情報を集めた。 今度は【鬼事電車】というはっきりとしたキーワードがあったのでいままでより情報を探しやすい。 検索すればいくつものサイトが引っかかったが、細部で違うところはあれど大筋は同じで有力な情報はなかなか集まらなかった。 それでも根気よく情報を収集し、もう一度鬼事電車に乗る方法を見つけたのは一ヶ月ほど前のこと。 会社で大規模なトラブルに巻き込まれたのも、同じ頃だった。
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