六月二十八日

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「×××!×××!どこにいるんだ?」 周囲の人を押し退け、声のする方に向かう。 相手はあまり動いていないようだ。 声がする場所が先程からさほど変わっていない。 「返事をして!×××!」 声が大きくなる。 近づいたから、だけではないだろう。 声に焦った響きが混ざり始めた。 -焦ってんのはこっちだよ! 声には出さず、心の中で毒づく。 と、色褪せた群衆の隙間からちら、と鮮やかな色が覗いた。 声がするのと同じ方向だ。 さらに乱暴に人混みをかき分ける。 -いた! 人の流れがまだ弱い電車沿いを歩く男。 青年に背を向け、きょろきょろと辺りを見回している。
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