一章

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   フワフワする。  まるで水底に沈んでいくような感覚。  これは夢だろうか。  だが、それにしては思考がはっきりし過ぎているような。  体の感覚は無い。  曖昧な境界線。  しかし唐突に襲ってきた衝撃。  体が後ろに強く引かれた。  急激に感覚が戻ってくる。  後頭部に感じる鈍痛。  闇が、開けていく――。 「いった……!?」  重い瞼を開けると、目の前には闇。  いや……どこかの部屋のようだ。  電気がついていない。  よく目を凝らして観察する。  床が天井で天井が床で?  逆さまの世界。  そして足元には……ベッドの側面。  以上から推測出来ること。  どうやら私は、落ちたらしい。 image=493848047.jpg
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