一章

4/47
前へ
/693ページ
次へ
   ――……ピリリリリリッ 「ひぃっ!?」  突然鳴った音に驚き、思わず悲鳴をあげる。  振り返ると、暗い部屋の中で一つだけ明かりを発しているものがあった。  私の、携帯電話。  そうだ、忘れてた。  携帯があるじゃんっ!!  こんなシンプルな着信音にしてたっけという疑問はあったけれど、とにかく携帯に駆け寄り、慌てて通話ボタンを押した。  誰でもいい、ちょっと助けてほしかった。 「もしもしっ!!」 『………』 「……も、しもし? 誰? 聞こえてる?」  どこからかけているのだろう。  ザーッという雑音が微かに聞こえる。  それ以外は、無音。  聞こえてないのかな……。  というか、誰からだろう。  私の携帯にかけてくるということは、私の知り合いの筈だけど。  そして相手の番号を確認するため、一度携帯を耳から離そうとした……その時だった。 『……やっと、繋がった』 「え……?」  聞こえて来たのは、知らない男の声。 「待って、あなた誰!?  なんで私の携帯」 『探してたよ』 「は……?」 『待ってて。今すぐ、そこに行くから』 「ちょっ、もしもし? もしもし!?」  ……切れた。  電話の奥からは、ツーツーという無機質な音が響くだけ。  なに、今の。  通話を切り、画面を確認する。  見覚えのある待ち受け。  確かに私の携帯。  じゃあ今の人は、誰? 「……っ!!」  そして、気づいてしまった。  携帯は今……圏外。 「ど……して……」  なんで圏外なのに電話が?  今のは誰?  なんで私の番号を知ってるの?  ――今すぐ、そこに行くから。  鳥肌がたつ。  ここに、来る?  助けてくれる?  いや、きっと違う。  ほんとに来るわけないとも思うけど、でもここはきっと私の部屋じゃない。  どうしよう。  逃げなきゃ。  早くここから出なきゃ。  でも、どうやって?  そうだ、落ち着こう。  よく調べるんだ。  これは、内鍵だろうか。  手探りで調べてみる。  ……外、から?  いや、でも鍵穴はこっちにある?  窓は、開かない。  鍵自体が見当たらない。  となると……どうしよう。  どうする? ・窓を壊す(9頁へ) ・探索する(11頁へ) ・諦める(10頁へ)
/693ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加