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河田が口を開いた。
「昨日、住所の場所まで行ってメールしただろ。その返事が、おれたちのことをバカにした内容だったよな。あれ、犯人の山口が書いて送ったものだったんだよ。下平いずみのSOSメール自体が、イタズラだったとおれたちに思わせるために。殺されたのは四時頃って書いてあるから、おれたちが帰った後だよな。ていうことは、おれたちが山口の自宅の近くにいたときは、まだ下平いずみは生きていたってことになる……」
あの流出うんぬんのメールは、犯人が書いて送ってよこしたものだったのだ。わたしたちは現場に到着し、下平いずみにメールを送ったが、犯人はその前に、自宅に帰って来てしまっていたということになる。昨日やり取りしたメールはすべて、わたしが今手にしている携帯電話のなかにまだ残っている。
「………」
わたしはしばらく、何も言うことができなかった。
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