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渋谷駅に着いたのは、午後二時をまわった頃だった。
河田は先に到着していた。
坊主頭の下の目が、細い弓月の形になって、笑っている。
「ふざけたメールだよな!」
言葉と違って、うれしそうな声の調子で河田は言った。
「イタズラだろ。指定された住所に行ったら、何が現れるんだろうな。何、っていうか、誰、だけど」
わたしが言った。
「まさか、警察に電話したりはしてないだろうなあ?」
河田が聞く。
「するわけないだろ。まず間違いなく、このメールはイタズラだ。そんなもんを信じて、警察に電話なんかしたら、おれがイタズラをしてると疑われるだろ」
わたしは答えた。
「そうだな」
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