紫陽花通りの門

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そのとき背後からさっきのフードの男が「パッチ様、申し訳ありませんが手違いが生じました。どういたしましょうか」と声をかけてきた。 そこには、佐田徹と楓の二人がいた。 あはは、一人じゃなくなった。 あいつらここに入る手順を見ていたからな。同じことをしたのだろう。 「そいつらは殺せ!」 「えっ、パッチそんな」 「だって、人間は昴だけで十分だろう」 「でも、待ってくれ。あいつらは殺さないでくれ。頼む」 「そうなの? 殺しちゃダメ? まぁいいや昴が一緒にいてくれるならあいつら生かしてやるよ」 ホッと胸を撫で下ろす。 パッチは言葉を続けた。 「けどね、あいつらが危険人物だと思ったら即殺すからね。いや、皆のゴハンがいいかもね」 パッチ……。おまえはそんなに凶暴だったのか。残虐非道な猫だったのか。 もしかしたら、自分も安全じゃないのかも。 いずれ死ぬ運命にあるのかもしれない。 なんでこうなってしまったのだろうか。 やっぱり人の世に帰りたい。 パッチは好きだけど、それは目の前にいるパッチじゃない。 ああ、もう後戻りはできないのだろうな。残念ながら……。
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