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一緒にいるところを見られたら最悪だが、この場所にはおそらく知り合いが来ることはないだろう。雨の中ここにくる奴がいたらよっぽど物好きな連中だ。
目の前にいるふたりみたいにな。
「それにしても、どうしたの昴くん。あなたがここに興味あるだなんてね。私は嬉しいけど」
こっちは嬉しくなどない。いや、ちょっとは嬉しいかも。
見た目はすごく可愛いからな。おっと、何を考えている、このど阿呆。
「昴、ここは素人には無理だぞ。俺たちプロでもいまだに入れずにいるんだからな」
プロ? いったいなんのプロだよ。
ああ、ダメだ頭が汚染されていく。話している場合じゃない。
とにかく、この二人は放っておいて手順通りやるしかない。何を言われても無視だ、無視。
メールは猫誘拐メールの他にも届いていた。
それにはこの門を攻略法だった。
『おまえだけに教える秘密だ。誰にも言うなよ。
①コップに雨水を零れるくらい溜める。
②赤紫色の紫陽花の花をひとつその雨水に入れる。
③その紫陽花入りの雨水を一気に飲む。
④門に両手を置いて目を閉じて前に進む。
それだけだ簡単だろう。あっ、そうそう紫陽花はできるだけ濃い色の花を選んだ方が成功しやすいからな。ふん、精々頑張れよ』
本当にこんなんでこの中に入れるのだろうか。正直信じ難い。
まぁやるしかないのだが。こっちに選択肢はない。
けど、このふたりの目の前でやっていいものか。誰にも言うなって書いてあったし。
うーむ、言わなきゃいいんだよな。なら、大丈夫か。
見られてはいけないとは書かれていなかったもんな。
よし、用意してきたコップに雨水をだな。
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