第1章

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五年前の今日。 俺は一緒に暮らしていたアサミのアパートにいた。将来のために別れて欲しいと切り出した。俺の熱烈なファンだという出版社の重役の娘との縁談がまとまりかかっていることを告げて。 彼女はすぐには首を縦には振らず、今まで見たこともないほど取り乱した。 今思えば当然だったのかもしれない。 しかし、リサはどうしてそのことを知ったんだ? 腹を括って当時のアパートに行くと、そこは既に取り壊されて駐車場になっていた。 俺は肩透かしを食った気分でその場に佇んでいた……。
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