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『今度の同窓会来る?』
メールが届いた。いじめられっ子かと思ったら、地元の友達からだった。
いじめられっ子は相変わらずいじめられている。けれど、俺のアドバイスした筋トレという案は採用されたようで、日に日にトレーニングには励んでいるらしい。サンドバッグはさすがに買えないから、公園の木をどついていると言う。彼が裸にむかれた公園には、大きな木がいっぱい生えていたから相手には困らない。
『行くわ。丁度バイト辞めたし。お前は?』
こないだの遅刻が尾を引いて辞めざるを得なくなったのだけど、そこまで説明したくない。
メールは小学校からの同級生、靖男からだった。高校までずっと一緒だったけれど、俺が大学の為に上京したように靖男も地元を離れている。
そう言えば、数日前に同窓会の出席確認のハガキが来ていた。返信するのをすっかり忘れていた。メールだったら返し忘れることもないのに。もはやハガキなんて時代遅れだ。
『お前が行くなら行くよ。それと、同窓会の次の日に佐々木の線香あげに行こうって話もあるけど、そっちはどうする?』
『誰だっけ?』
佐々木?脳みそをフル回転させて思い出そうとするけれど、ピンとこない名前だ。
『ほら、小学六年生の時に事故で死んだ佐々木だよ』
あ。
『電車で死んだ佐々木か』
思いだした。俺の小学校でもいじめがあった。佐々木はいじめられっ子だった。小学生が思いつく限りのいじめを受けて、電車に飛び込んで死んだんだ。どうして忘れてしまっていたんだろう。
『同窓会、本当にたまたまだけど佐々木の命日なんだと。ほとんど全員出席できるらしくて、ついでにって案が出てんだ。お前どうする?』
『考えとく。』
そうやって俺はメールを打ち切った。そうか、小学校の時にいじめを苦にして死んだ人間がいた。
俺はいじめられっ子にメールを送った。
『死ぬなよ?』
俺は初めて、このメールの向こうに傷ついて死にかけている小学生がいるんだと言うことを意識した。
『はい、死にません。神様。』
メールは返ってきた。いつからか、いじめられっ子は俺のことを神様と呼んでいた。
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