第1章

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脇にはハンバーガー系のファストフード店の袋。 「眼鏡掛けて外出るの慣れねーな、歩きづれぇーわ」 服についた水滴で廊下を少し汚しながら、男は部屋に戻った。 ベッドに腰掛けた男は、袋からハンバーガーを取り出し、食事を始めた。 「むぐむぐあんまり美味くないけどむぐむぐまあ近いし安いからなぁむぐむぐ」 カリッ 「あっ、しまった! うえっ! ピクルス抜いてもらうの忘れた、ちくしょう」 男は口の中のピクルスを吐き出し、ハンバーガーに挟まった残りのピクルスも抜いて、捨てた。 ブブブ、ブブブブブ > 「ピクルスお嫌いなんですか? 捨てられるピクルスの気持ちを考えたことがありますか」 「またスパムメール・・・じゃないな、なんだこれ」 怪しむ男、携帯を操作し、差出人を確認する。 「差出人が俺になってる。アドレスも俺じゃん。なにこれ、気持ち悪ぃな」 黒い恐怖感を覚えた男は、携帯の電源を切り、ベッドに横たわった。   ◆◆◆◆◆ 無音。暗黒。そんな部屋の中で、男は眠ろうと努力していた。 「眠れねぇ・・・、ここんとこいっつも眠れない。目が冴えちまう。そんで結局朝方に眠って遅刻するもんなぁ、クソ」 ぶつぶつと呟きながら、男は目を閉じたり開けたり、何かを考えたり考えなかったり、右へ寝返り左へ寝返りした。 しかし、結局根付いたのは朝方だった。   ◆◆◆◆◆ 「あぁ~~、ねむっ」 男が起床した。寝覚めは悪くすぐに二度寝しそうな雰囲気である。 雨の音はしないが、カーテンから漏れる光は控え目、どうやら天気は曇りのようである。 男は寝ぼけ眼で、枕元の眼鏡を掛け、携帯の電源を入れた。 ブブブ、ブブブブブ >「おはようございます。もうお昼ですよ。貴方は人生という貴重な時間を無駄にしています」 「くそっ、またコイツか、なんなんだ! 説教臭いことばっかり言いやがって」 ブブブ、ブブブブブ >「先日申し上げました通り、この携帯電話に住まわせていただいております。ずいぶん物覚えが悪いんですね」 「なにっ、なんだコイツ、携帯に住むってなんだよ、バカか。・・・え? 会話成り立ってる?」 辺りを警戒する男。 「盗聴とか、盗撮とか、ドッキリとか、なんかそういうのか」 ブブブ、ブブブブブ
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