第1章

6/7
前へ
/7ページ
次へ
>「無事に成功しました。少し電気を使いすぎてしまいまして、お声掛けいただいてもすぐにお答えできないと思います。すぐ終わります」 「おいおい、マジかよ、大丈夫か? まあ電気だったら、充電すりゃー、直るのかなー、うーん」 少し思案していると、先程までの目覚めが嘘のように眠気が襲ってきた。 「ふぁぁああ~、まだ朝早いし休みだし、二度寝すっか」   ◆◆◆◆◆ 時刻は昼過ぎ、相変わらずの曇り空の控え目な光が、部屋を薄暗くしている。 スッ、と男は上半身を起こした。携帯にメールがある。 >「睡眠も寝覚めも完璧のようですね。なによりです。体は大事にしないといけません」 「いやー、ほんとほんと、最高だね。生まれ変わったような気分だ。あーもう昼過ぎか、腹減ったな」 何も買い置きしていないのだから、何もないことを知りつつ、男は何かないか見回す。 一昨日も食べたハンバーガーの包みを見つけた。 「おおー、残ってる! あれ、残したっけ、全部食わなかったっけ。まあいいや」 男はハンバーガーを頬張った。 ピクルスが入っていたが、今度も構わずかじってしまった。 「あっ、ピクル・・・お! 美味いぞ! こんなに美味いものを捨ててたのか、もったいねぇなー」 ハンバーガーを完食した男。 「ん~? 腹になんか入れたからかなぁ、眠くなってきた。昼寝すっか」 耐え難い睡魔に襲われ、男はそのまま倒れるように睡眠に入った。   ◆◆◆◆◆ 夜。大雨の音と、雷。 一昨日のように激しい音が、男の部屋に響いている。 明かりはついていない、稲光だけがが部屋を男をときおり照らす。 「うあ、また雷か、怖ぇ」 部屋の明かりをつけようとするより前に、携帯のことを思い出した。 部屋は暗いが見えないわけではない、枕元の携帯を手にする。 メールの着信がある。 >「お別れの挨拶です。これが最後になります。最高の出会いに感謝致します」 「お別れって・・・、おいおいなんだよ、電気足りなくなったのか? あれっ?」 いつものメールとは違い、大量に改行があることに気がついた。 メールをスクロールしていく。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加