2人が本棚に入れています
本棚に追加
辺りがとっぷりと暮れた頃には、
このコンコースはいつもより靴音が多く響いている
夕方から降り出した雨は、
乗降客だけでなく、
傘を手にしたお迎えの人達をも、
この駅に引き込ませた
この場所に集った人達は、
手にした傘を誰に差し出すのだろう
家族や友人、
恋人
どれも相手を想いやってのものに違いない
だけど、
私に傘を手渡してくれる人は誰もいない
想ってくれる人は、
誰一人いなかった
最初のコメントを投稿しよう!