銀河鉄道の夜を読んだ夜に~第四章~

10/11
前へ
/11ページ
次へ
「……その二人は未だに宇宙でさ迷っていますが、眠るときだけ一時同じベットで寝ています。もし、あなた方が天国でお友だちが出来たら見返りなしに愛してあげて下さい。悲しみが和らぐでしょう。だけど、見捨てることがあれば、あなた方の魂は天国を追い出され宇宙をさ迷うでしょう。そう……。ジョパンニとカムパネルラのように別れを選ぶとお互い思いあっても会えるのは眠るときだけになるでしょう。私のお話はこれでおしまい。皆さん、天国で元気にね。いい子にしていればお盆にはお父さんお母さんに会いに行けますから」 全員が前を向いて聞き入っていた。 淋しいお話だけど素敵なお話だった。 一時、別れてもずっとお互いを探し続けるなんて。 しかも、天国は起きたまま会えるチャンスをくれているという。 一年に一回、七夕の日だけ。 だけど、カムパネルラは近くにいる人が時計を見たら、そのチャンスは失われ、ジョパンニは近くにいる人が名前を呼んだら、そのチャンスは失われるという。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加