銀河鉄道の夜を読んだ夜に~第四章~

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銀河鉄道はものすごく速いスピードで空をかける。 土星や木星の大きさに驚いていたら、太陽が地球から見るよりずっと小さくなった。 地球がただの小さな光になった頃には沢山の子供たちがうつむいて泣いていた。 僕もその一人だ。 こんなにいっぱいの子供たちがいるのに、なんて悲しいんだ……。 地球が地球だと分からなくなったら、恋しさが増してくる。 お父さんお母さん、ごめんね。僕は泣き虫だったらしい。 みんなでメソメソと泣いていると織姫の声がまた聞こえる。 「皆さん、お父さんお母さんが恋しいでしょうけど急ぐ私たちを許して下さい。七夕の日に亡くなった魂を天国に導くのが私たちの役目なのです。今日中に天国まで導かないといつかのジョパンニとカムパネルラのように宇宙をさまよい続けてしまいます……。彦星の運転はかなり速いですが、安全には気を付けてますので……」 彦星が運転しているんだ……。 それを聞いて僕は袖で涙を拭った。
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