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これは夏祭りが始まる少し前の話―――
「ちっ…暑い……」
暑さなど感じない筈なのに、夏の日差しのせいか気分が滅入る毎日が続く為、CDや書籍を扱う某大型店に涼みに向かうのが日課になってしまっていた。
勿論こんな中、人形狩りなどする気も起こらず街中で人形達を見掛けても気にとめず、人間の言動にも殆ど関心も持たず只、涼を求めて歩いていたがこの日だけは違った。
「今度のお祭りいくでしょ~?」
「行くよ。かき氷食べたいし、もしかしたらイケメンいるかもしれないし~」
「何それ~笑える」
すれ違った女子高生ぐらいの子達の会話が耳に入り【かき氷】と言う単語に興味をそそられた。
かき氷について調べようと急ぎ店へと入ると入口正面にある雑誌コーナーに積まれた本に
【夏祭り!花火大会特集!今年の屋台はかき氷が違う】
の文字が目に入り慌ててページを捲った。
「こ…これが…かき氷………」
そこには、柔らかく削られたに赤いシロップ、たっぷりかかったかき氷が載っていた。
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