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心の中でツッコんでいると、さっきまで頭を下げていたエメリーさんとイエムさんが「「それはダメですディーヴァン様!!」」とハモりながら叫ぶ。
でもそんなことで魔王であるディーヴァンさんがあっさりと引く訳も無く、
「何故だ? 魔王…もとい、魔族である私が人間の養子を取ることの何がいけないんだ?」
あ、これはマズいパターンかもしれない。というか私「マズい」って何回言ったのかな? あ、今はそれどころじゃないか。
「そ、それは…」
「ぜ、前例が……」
嫌でも肌に感じる悪寒に竦み、2人の声がどんどん小さくなっていく。
どうしよう、2人が可哀想だしベルクさんに至っては……ん?耳に手を当ててる?
なんて思った矢先、
「(聞こえるかい?ハムラさん)」
「(えぇっ!?)」
頭の中にベルクさんの声が。え、何これ?
「(状況が状況だから念話を使ったんだよ)」
「(念話っすか…で、なんで念話を?)」
「(ふむ、念話か。小賢しい真似を)」
ベルクさんに念話で聞き返そうとした直後、何故か頭の中に聞こえてくるディーヴァンさんの声。
思わずベルクさんの方を見ると驚愕した顔になっていて、視線を横にやってから徐に上に向けると。
「フフン、そんな物で私にバレないようにしたつもりか?」
どこか楽しげな、そして「してやったり」と言わんばかりにニヤリと笑みを浮かべるディーヴァンさんの顔があった。
「さ、流石魔王といったところですね…」
「事実魔王だから当たり前だろう? 伊達に歴史上数少ない女性の魔王の娘をやっていないからな」
何その初耳情報、歴史上数少ないってかなり珍しいじゃないですか。しかも娘って……
「そうですか…」
冷や汗を流し、顔を少し歪ませるベルクさん。
「ん?ベルク、こんな所で何やってるんだ?」
不意に聞き覚えのある声が聞こえ、全員が声の主の居る方向に顔を向けた。
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