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ちなみにタナトナトはボール状をした紫色の体に骸骨のお面、針金のように細い四本の足を持っている。
あとは……あぁ、見た目に反して美味しいとは聞いたことはあるな。
「さぁ、お腹いっぱい食べてくださいね!」
満面の笑みで告げるメルヴィに、エメリーと顔を見合わせ、覚悟を決めたような表情でタナトナトの切り身が使われたサンドイッチを手にするカオル。
「………い、いただきます…」
ゴクリ、と喉を鳴らして恐る恐る口に近づけて───ほんの少しだが、一口食べる。
「………………あれ?」
しばらく咀嚼して飲み込むと、意外そうな顔になる。 フッ、その反応は予想範囲内だ。
「ど、どうかされましたか…?」
「いや、見た目から予想出来ない味というか、なんというか……」
「え、そうなんですか?」
聞き返してから、カオルと同じようにタナトナトの切り身が使われたサンドイッチを手に取り、一口かじるエメリー。
そして。
「…………本当、ですね……」
やはり意外そうな顔で呟くのを見ながら、私はメルヴィと顔を見合わせてからお互いに小さく笑った。
「あ、ディーヴァンさん笑いましたね!?」
「さて、何のことやら。それよりいい加減さん付けはやめて、『母さん』って呼んでくれないか?」
「まだ慣れてないから無理ですー!」
「言ったな?その内絶対に『母さん』って呼ばせてみせるからな」
「上等です!」
カオルとそんなやり取りをしながら、私は昼を過ごしたのだった。
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