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「カオル」
「? 何?母さん」
あれから1週間後。親子のスキンシップ(予想以上に過激だった)を受ける内に諦めてディーヴァンさんを「母さん」と呼ぶようになった頃、部屋で暇を持て余していると何やら母さんに話しかけられた。
「いや、私は1週間前からこの城に泊まっているだろう? だから自分の城がどうなっているか気になってな」
「城? あ、あぁなるほど…」
そういえば母さんって魔王だっけ。あんまり『魔王』って雰囲気じゃないから忘れかけてたけど。
あ、エメリーさん?昨日従者の皆さんの研修的な集まりに出かけて、期間がちょうど1週間でしばらく留守なんだよね。
おかしいな、専属の従者なのに早速出番が無くなって…ゲフンゲフン、おっと危ない。
「母さんの城にはどんな人…じゃなかった、魔族が居るの?」
「ん? どんな魔族か……そうだな、様々な種類が居るが、それがどうかしたのか?」
「ちょっと気になったんだよ。魔族がどんな存在か、興味あるから」
素直に答えると、「フフ、そうか」と言って嬉しそうに笑う母さん。……うーん、こうして改めて見ると母さんって本当に美人だよなぁ。
なんて思っていると、母さんはニヤッと悪い笑みを浮かべて唐突にこう言った。
「なら、今から向かうか?」
「………え?」
ちょっと待ってくれよ母さん。私の聞き間違いじゃなかったら、「今から向かうか?」って聞こえたんだけど。あれ、気のせいだよね?
前話の終わり方が何だか中途半端な気がしてならないのと同じくらい気のせいだよね? え、関係ない?今はそんな小さなこと気にしてる場合じゃないんだよ。
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