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それよりも、それよりもだよ。今は「自分の城に行こう」的なことを言った母さんの方が問題なんだよ。
「では早速向かおうか」
え、ちょっと心の準備がまだなんだけど。
なんて思った直後、母さんが目を閉じて手を前に突き出すと赤色の魔法陣が現れた。
「えっと……これは?」
薄々、というか予想はついているけど念の為に確認しよう、うん。
「? 私の城に直通する魔法陣だが?」
「だ、だよね……」
しかし現実は甘くなかった。でも最早予想通りだよ私は。
「そうに決まってるだろう。それよりほら、行くぞ」
がしっ。
「え?」
何この嫌な予感しかしない効果音。
「フフ、皆の反応が楽しみだな」
「ちょっと母さん、まだ準備が──」
出来てないんだけど、と最後まで言い切ることは叶わず、母さんに腕を引かれた私は魔法陣をくぐった。
あぁ、嫌な予感しかしないなぁ、なんて思いながら。
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