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もしかしてこれがヤンデレ、いやそんなまさか、なんて考えたくない可能性が頭の中に浮かぶ。
さ、さすがに無いよね? いくら作者が百合(二次元)を模索中だからって、百合属性持ちのメイドにヤンデレ属性を付加するなんて暴挙に出る訳ないよね、うん。
「エメリーさん、まだ行っていない部屋とかありますよね?」
「……え、あぁ……そ、そうですね、では案内を再開させてもらいます」
「よろしくお願いします」
話しかけると慌てた様子でそう言い、その場から歩き始めるエメリーさん。
こうして案内してくれる分には優しいメイドさんなんだけどなぁ、なんて思いながら私はエメリーさんの後をついて歩きだした。
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「そういえばエメリーさん」
「はい、何でしょうかカオル様」
「いや、少し気になることがあって……」
あれから食堂・広間・従者の皆さんの部屋・中庭という順番で案内され、ちょうどお昼の時間になった頃、私は気になったことを訊ねることにした。
「気になること、と言いますと?」
不思議そうな顔で聞き返してくるエメリーさん。
「えっと…この城の王様は魔王と仲が良いんですよね?」
「ええ、確かにリエク様は魔王…“ディーヴァン”様とはご友人ですが…」
やっぱり嘘じゃないか、なら本題に移ろう。
「魔王ってどんな方なんですか?」
これが気になっていたことだ。王様と仲が良い友人、ということ以外情報が無いから想像がつかない。
質問に対し「う~ん…」と腕を組んで難しい顔になるエメリーさん、だが少し悩んだ後に「そうですねぇ…」と話しはじめた。
「何度かお目にかかったことがあるのですが、大変お綺麗な方でした……腰まで届いた鮮やかな赤い髪と漆黒のドレスがマッチしていると言いますか、それに…」
「それに?」
あれ、どうしたんだろう。
なんて思っているとエメリーさんは哀愁を漂わせ、「はぁ…」と溜息を吐いてから続けた。
「大きかったんですよ、あれが……」
「あ、あぁ…なるほど…」
言いたいことは分かりました、ええ分かりましたとも。
エメリーさんは見るからに…いや、私も言えないけどさ。
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