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雰囲気だけでなく服装までも魔王っぽくない魔王、ディーヴァンさんの言葉に思わず黙り込むエメリーさん・イエムさん、そして私。
いや、だって……ディーヴァンさん、私達3人より頭一つ分とちょっと上くらいの身長なんだもん。うーん、どうだろう…180はゆうにありそうだな。
なんて観察していると「呼びかけておいてだんまりか?」と言い、じろりとした視線を向けてくる。
「…あ、あの、その……」
「ん?」
「か、カオル様…?」
驚くイエムさんに「大丈夫です」と視線で送り、なんとか勇気を出して言葉を続ける。
「きょ、今日はなんで…城に来たんですか…?」
「なんでって、我が友人リエクに会いに来たに決まってるだろう?」
当然だと言わんばかりに答えるディーヴァンさん、だけどその答えを確認した私は気になっていたあることをあえて聞くことにした。
「お、王様に奥様とか…居たら、その、気まずくないんですか…?」
まだ見たことは無いけど、居たらマズいと思う。友人とはいえ、ディーヴァンさんは女性だし…
そう思っていると「何を言ってるんだ?」と少し呆れたような顔になり、驚きの言葉を口にした。
「リエクに妻など居ないぞ? それにリエクの弟がすでに次期国王となることが約束されていて、その弟には妻も子も居る。だから気兼ねなく会えるんじゃないか」
「え?……あ、ま、まさか…」
『妹か娘がほしい』って、まさか…
予想が的中したのか、私と同じように驚くエメリーさんとイエムさんを気にする様子も見せずにディーヴァンさんは続ける。
「あぁ、にしてもリエクの弟の妻は美人だし娘も可愛かったなぁ…ますます妹か娘が欲しくなってきた」
うっとりした顔でサラッととんでもないことを口にすると、何故か右から左、私・エメリーさん・イエムさんに視線を巡らせて---私の顎に手をやり、クイッと持ち上げられて嫌でも目が合う形になる。
あ、なんだか嫌な予感がする。
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