第1章

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 そういうと彼は、開いているデーターを、アレックスの主任分析官ジーン=フォートンのモニターに送った。ジーンの後ろではアレックスがモニターを見ている。送られたのは、地下7Fまで書かれた紫ノ上島と秘密施設の3D・MAPだ。地下7Fの存在が判明したのは拓が見つけたほんの一時間ほど前だったが、そのことを国土安保長長官に確認すると、5分後にはNSAから機密文書として紫ノ上島秘密施設全エリアの地図の提供があった。紫ノ上島のデーターが軍からNSAに移った理由は分からないが、とにかくもようやく島の完全なデーターを手に入れることが出来た。 「ガソリンに引火しただけでは」そう言いながら彼はエンター・キーを押す。地下7Fが一気に赤くなり、直後地下6Fは崩れ落ち、赤い光は地下エリアへの外部入り口各々から洩れていく。「島やその上にある施設、館までは崩壊しません。元々地下5Fと6Fはセキュリティーの関係上底が厚く、地下6Fは、限られた三箇所の出入り口は、そのまま地上、もしくは地下2Fを経て地上…… という感じで熱が逃げるようになっています。しかしここに爆弾70個があると話は変わります」  ロニーは再び地図を元に戻しこれまでの情報と経験から、大まかに地下7Fに爆弾70個を表示させた。今度は赤く点滅する爆弾をまずは爆破させ、その後ガソリン爆破を再現させた。すると地下6F、5Fの底が抜けるように崩れそして炎は地下4Fに広がる。 「データーでは<ボンバー・システム>があるのは地下4Fより上からです。クロベ捜査官が入手した爆弾配置通りであれば、爆風によってそれらが全て誘爆を起こし……」 「施設は崩壊、島は吹き飛ぶ」とアレックスが呟く。 「おそらく、爆弾の多くは天井や壁に設置してあると思われます。それによって丁度鍋底が抜けるように建築物を破壊できます。しかし」  ロニーは再びキーを叩いた。3D・MAPの地下6Fと地下7Fの間にグリーンのラインが引かれた。 「今、バグを送りエラー状態にして使用不能になりました。一先ず安全です」 「全ての爆弾が同じコードだと思っていいのか?」とアレックス。それに答えたのはジーン捜査官だった。 「部長。この爆弾は、犯罪組織にとって使用する予定にはない最後の手段です。そして爆破を決意した場合は同時である事が必須です。ロニーの意見では、このドイツ製爆弾の通信範囲は約2キロ以内です」
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