第1章

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「持っているとすればサタンだけ、というのだな」  場所が都会で通信状況が整っていればかなりの遠距離からも操作は可能だが、この爆弾の通信力は惰弱だ。  サタンはすでに拠点を4つ失っている。その事を考えると、爆破のスイッチの形状は大きくてもタブレット・サイズ以下のはずだ。そして常に持っている、という想定にたてば爆弾の種類は一つ、というロニーの推理は的を射ている。行動犯罪心理学のプロ、アレックスの意見も同じだ。しかしユージたちの報告ではサタンは持ち歩いていないという。  ……目的は脅し、か……  本気で爆破したければ、改良を加えるなり何社かの製品を混ぜたりするはずだ。 「では後は階段を爆破し封じれば終わりだな。それは彼女たちの技能で可能か?」 「他に小型の爆発物を持っているという情報ですので、それを使えば爆破は可能です。しかし、ちゃんと階段だけを破壊しないといけないといけませんし、<ボンバー・システム>に当たらないよう場所を検討します。2分下さい」とロニー。アレックスは了承し、通訳官にその事を指示する。  その時、NSA担当のホールス捜査官が、奇妙なものを見つけアレックスとジーン捜査官にデーターを送った。 「NSAのデーターの中で暗号化されたブロック・プログラムがあるのですが」  そういうとホールス捜査官は、地下7Fの地図を開き、ほぼ中央にある黒く塗りつぶされた場所を指差した。「このデーター自体暗号化されていました。それを突破して、この画面になりますが問題が」 「ここに何かあるというんだな」とアレックス。しかしそのデーターにアクセスしようとしても弾かれてしまう。 「我々のアクセス・レベルではアクセスできないようです」とジーン。 「俺のアクセス・キーを使え」 「やりました。でも、ダメです。アクセス権レベル6以上の人間、三名の同時アクセスが条件になっています」 「…………」  アレックスの表情がにわかに険しくなった。  ……アクセス権レベル6以上だと……? 長官クラス又は将官クラスのアクセス権だ。それが三名以上ということは、よほどの重要機密ということだ。ここまでNSAは協力して情報提供しているのに、さらに暗号があるという事はどういう事か……  一瞬迷ったが、アレックスはSAAの№4のアクセス・キーを伝え、強引に暗号解読するよう命じたが、ジーンはそれを拒否した。
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