淫乱指数、100。

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 翌日の昼休み。  会社の屋上の扉を開けると、  既に先客してたスーツ姿の一人の人物が瞬間固まるのが見えた。 「・・・こっ、こんに、ちは。藤木さん」 「加瀬君、こんにちは。ここでお昼休憩?」 「はぃ、あ、いいえっ!はははっ・・・」  明らかに挙動不審なその理由は、  角の隅にポツンと置かれた1つの空き缶。  その中にタバコの吸い殻が入っている事を知っている。  昼休みになると、  加瀬君がこっそり屋上に来て吸っている事も知ってた。  置かれたその空き缶を見ながら言う。 「うちの会社禁煙だよ?」 「そ、そうですよね。ぃや、あの、俺はち、ちょっと気分転換で屋上に来てみただけで」 「屋上は立ち入り禁止だよ?」 「・・・知ってます。ふ、藤木さんは?」 「私は部長の許可もらってるからいいの」 「そうなんですか?」  そう言って、  端に置いてたジョウロを持って、  屋上に設置されてる水道をひねり水を入れた。  殺風景な屋上の中で、  ポツンと置かれた2つのプランターにジョウロで水をかける。 「ここ日当たりがいいから、許可もらって野菜育ててるの」 「へぇ、なんの野菜ですか?」 「ピーマン。私、貧血気味だからピーマンたくさん食べろって部長命令出てるの」 「げっ!」 「あれ、もしかしてピーマン嫌いなヒト?」 「ピーマン・・・は苦くて、俺ちょっと苦手で」 「加瀬君って子供みたい。チンジャオロースとかピーマン肉詰め美味しいよ?」 「・・・そ、うですかね」  屋上は日当たりが良くて野菜を育てるのに良環境。  少しづつ大きくなっていく葉を見るのも好き。  柔らかな日差しと静かな風が心地いい。  プランターの前でしゃがみこんで葉を眺めていたら、  加瀬君も隣に来てしゃがみ話しかけてきた。 「・・・・・・藤木さん。昨日、帰った後、ちゃんと眠れました?2日酔いなってません?」 「うん、眠れたよ。2日酔いもナシ」 「・・・・・・昨日の事、覚えてます?」 「昨日?」  真面目な顔をしてなにかを確かめるようにそう質問してきたから。  わざと首を傾げて、  うーーん、と考えるフリをしてみる。 「酔ってたから覚えてない。昨日なにかあった?」
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