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第1話 【オサナナジミの関係】
「こんにちは。お腹、もう結構大きいけど、そろそろなの?」
町の小さな産婦人科の片隅で、初産を来月に控えた私は同じくお腹を大きくした女性に声をかけられた。
「えぇ。来月の今頃生まれる予定です」
「実は私もなの。男の子だから、あんまりお腹は目立たないみたい」
愛しそうに自分のお腹を撫でる彼女の表情は、母親そのものだった。
「よかったら、お友達になりません?」
照れ臭そうに笑う男の子の母親に、私は満面の笑みで首を縦に振った。
「ぜひ!仲良くしてください!」
そうして月日は流れ、生まれた赤ん坊たちは、この春、高校生になろうとしていた。
★第1話 オサナナジミの関係
【START】
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