散歩の途中

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散歩の途中

長く生きるということは 幸せなこと だが長く生きる ことによって さまざまな苦悩を 抱え込むことも確かなこと 人は誰でも 心の底に何がしかの 傷や闇を抱えているのだろう 美奈の心の中には 数えきれないほどの スクリーンがある その画面に無数の景色が まったく整理されず いずれも 鮮明な記憶として残されている 美奈は時に その中の一枚の 光景を取り出し 時間をさかのぼって 鮮やかな舞台を眺める…… 「あっ、昨日ミナちゃんが夢に出てきた」 ふと彼が言った 「どんな夢?」 「どんな夢だったかな」 「楽しい夢?」 「ふふっ」 「気になるじゃない」 大好きな彼の 夢に自分が現れたと 言われてとてもうれしい (たとえ、いつもの おっちょこちょいでもね) (彼の意識の中に いるっていうことだから) 時は流れゆく 過ぎ行くままに 身をまかせるほかはない 若いころ時は豊富だ 経験することの 新しさからか 一年は、ずいぶん長く 感じられる だが時は人の感じかたに 関わらず流れていく…… 空が青いと言っては ひと休み 海がきれいと言っては ひと休み 風のささやきに頷きながら 今、私たち 二人仲良く散歩の途中…… image=493906425.jpg
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