第1章

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彩音は、目の前の鍵盤を見つめると、一呼吸してから鍵盤に指を置き弾き始めた。 彩音はショパンが大好きでよくショパンのピアノを弾いていた。 彩音がピアノを弾き始めると、ジェラルドのピアノを弾く指が止まった。 そして、彩音が弾いている音色に聞き入っている。 彩音は物心ついたときから鍵盤をたたいている。 ピアノの先生の母を持つ彩音にとって、ピアノは遊びの一つだった。 自然にピアノを習得していった。 彩音の弾くピアノはとても軽やかで、楽しささえ感じるとよく言われていた。 彩音自身何時もピアノを弾いている時は、心がうきうきとなるのだった。 それがピアノにも表れるのだろうと言われている。 彩音のピアノを聞いた雅也は驚いた。 かなりの腕前に、ピアノにも感情が流れているからだ。 聞いていてこちらも楽しくなってくる。 ジェラルドが、雅也の顔を見て 「おい、これなかなかのものだぞ」と言う。 雅也も、静かに頷いていた。
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