第1章

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彩音が弾き終わると、二人同時に拍手をしていた。 ジェラルドが「彩音スゴイな君は、いつからピアノをやっていたの。上手いよ本当に」と驚きの色を出していた。 雅也も微笑みながら「すごいね。彩音は小さなときからやっていたからね。でもこれほどとは思っていなかったよ」と言う。 彩音は、褒められて嬉しかったが、高橋さんに彩音と呼び捨てにされて驚いた。 この人なれなれしいのかな、などと思っていた。 それに、雅也さんに小さな時からやていたとは言ったけれど、今の言い方小さな時の私を知っているようないい方じゃないかしら。 どうしてかしら。 彩音は雅也の言葉に少し、疑問を残したまま元の会話に戻った。 ジェラルドも、「彩音は本当に上手だね。一度コンクールに出るといいね」と言う。 彩音は、今までコンクールに出たことがなかった。 本格的にピアノを習いたいと思ったことが無いからで、母からもコンクールに出てみる、なんて言われたことがないからそのままできている。 「同じクラブなんだし、ぼく達の事はファーストネームで呼んでくれていいよ。僕は雅也、そしてジェラルドと呼んでくれていいからね」と優しく言う雅也だった。
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