第1章

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私立橘葵高校に通う一年生の上野彩音(あやね)は、ごく普通の高校生。 でも違うのは、彩音の通う学校がいわゆるお金持ちのご子息たちが通う学校だということだ。 彩音自身はごく普通の一般家庭に育っている。 なのだが、理由あってこの学校に通う事になった。 その理由と言うのが、彩音の祖母綾乃の願いを聞き届ける為だった。 綾乃の願いは孫の彩音に、この学校に通ってほしいと言うのだ。 「彩音、橘葵高校に通ってほしいのよ。そして、そこでピアノクラブに入ってほしいの」とだけ彩音に言うのだった。 しかし、その本当の理由を綾乃は言わない。 彩音にとってピアノはお友達みたいなものだった。 小さなときから、ピアノに慣れ親しんでいる彩音にとっては家でピアノが弾ければそれでいいと思っていた。特にコンクールに出たいとは思っていなかった。 それは綾乃も知っている。 だから綾乃の願いがなぜこの学校に通う事なのかは分からない。 彩音は綾乃が大好きだった。綾乃も彩音が大好きでよく可愛がっていた。
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