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この高校でピアノをやってほしいと言うのが祖母のたっての願いだった。
その願いをかなえる為に、私立橘葵高校にこの春から通う事になった。
彩音はサラリーマンの父とピアノの先生をしている母を持つ普通の家庭に育っているが、かなりの美貌の持ち主だった。
本人にはほとんどその自覚はないが、お金持ちのご子息が通う高校で彩音はその美貌ゆえに目立っていた。
それもそうだろう、彩音ほどの美貌の持ち主なら目立って当然だった。
彩音が校内を歩けば誰もが振り返る。
そして、その美しさにたまらず感嘆の声を上げていた。
しかし、彩音は周りの事など全くと言っていい程気にしていない。
また、彩音はその美貌を自慢することなくいるせいか、周りからはとても受けが良くて、誰一人として彩音をねたむ者などいなかった。
彩音が普通の家庭の子と言う事も、周りのもの達も知っていた。
一般家庭の出と言う事もあって妬みの対象にはならないのだろう。
彩音はそう思っていた。
学校に通い始めて、1ヶ月が経とうとしていた。
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