第1章

47/97
前へ
/97ページ
次へ
彩音は、自分は一般市民だと隠し事しないでオープンにしている。 裏表のない性格だ。 資産家の人達が、そんな彩音と一線を引いているのが良く分かっている。 将来的に自分の利益にならない人とは付き合わないのが資産家たちの考えだろう。 彩音は、そんな中で表面だけの付き合いをすることを学んでいた。 だが、玲奈だけは違っていた。 高校生活を送れば送るほど、玲奈の彩音を思いやる気持ちが伝わってくる。 本当に情の深い人なのだろう。 また人としての魅力を持っているのだ。 彩音と馬が合うのも一つの理由だった。 だから、玲奈とは普通のお友達としての付き合いが出来るのだった。 彩音が弾き終わると、皆が拍手を送ってくれる。 そして「彩音、本当に上手ね。今までコンクールに出ないなんてもったいなかったね。彩音なら、きっとコンクールに入賞していたよ」と玲奈が言う。 ジェラルドも「そうだね、彩音の腕ならきっと入賞していたよ」と言ってくれるが彩音は、 「私は、自分が楽しく弾けたらいいの。それ以上は望まないわ」と言う。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

170人が本棚に入れています
本棚に追加