第1章

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彩音は、今日こそはピアノクラブに入ろうとピアノクラブがある音楽室のドアをノックしようとした。 中からピアノの音色が聞こえて来た。 心をくすぐるその素敵な音色に、足を止めて思わず聞き入ってしまった。 小さなときからピアノをやっている彩音にとっては、ピアノの音色は聞きなれている。 この素敵な音色を出す人を見て見たいと思ってしまった。 人によって音色が違う、それはひき方なのか、その人自身が出るのか、まだ未熟な彩音には分からない。 だが彩音は心の赴くままに、そっとドアを開けた。 そしてピアノの音のする方へ視線を向けた。 すると、そこでピアノを引いていたのは、この学校の生徒のようだった。 しかし、その容貌は少し変わっていた。 日本人ではないらしい。 金髪のサラサラの髪が、窓から差し込む太陽の光に輝いていた。 肌の色はとても白くてまるで西洋の王子様を思わせる風貌をしていた。
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