ピアノの音色に誘われて

第1章

彩音は雅也の顔がまるで子供の様に見えたので、思わず可笑しくなり少し笑ってしまったが、

「どうぞいいですよ。雅也」と言うと彩音はソファーに座って、雅也が弾くのを聞いている。

そして、雅也って結構強引なんだと思いながら、深くは考えないことにしていた。

雅也のピアノの音色はとても美しかった。

優しさがあふれている感じがとても伝わってきていた。

彩音は雅也のピアノを聞きながら、穏やかな気持ちになっていくのを感じていた。

そこに祖母の綾乃がやってきた。

綾乃は静かに彩音の隣に座ると「この音色とても懐かしいわね。昔を思い出すわ」と呟いている。

彩音は「おばあちゃん、この音色聞いたことあるの」と聞き返す。

綾乃は「目を細めて、遠い昔にね」と言うと、また目を閉じて聞き入っている。

やがて、雅也の演奏が終わり雅也が綾乃に気付いた。