第1章

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彩音は、もう冗談きついよと言いたかったが、雅也の顔は真顔に見えた。 でも冗談であってほしかった。 結婚相手だなんて、雅也は何考えているんだろう。 その後は、母と祖母の昔話で盛り上がっていた。 父と彩音だけは暗い表情をしていた。 食事が終わると父は自分の部屋にこもると出てこない。 雅也は帰る事にしたが、母と祖母は「またぜひいらしてくださいね」という。 「お待ちしています」と綾乃が言う。 雅也は笑顔で「はい、喜んでまたお邪魔します。それでは今日はこれで失礼します」と答える。 彩音は「そこまで送ってきます」と言い雅也と一緒に玄関を出ていく。 雅也は帰り道「彩音、今日はありがとう。楽しかったよ。楽しい家族だね。ぼくの家の家族とは大違いだ。彩音と結婚する為にはお父さんの許しを得る事が必須だね。あの様子じゃ大変だよ」と言うと笑っている。 彩音は「雅也、冗談きついよ。もう、お父さん本気にしていたんだからね。後で誤解解いとくよ」と言うと少し頬を膨らませる。
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