第1章

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握手を求められた彩音は、素直にそれに従って手を出して握手を交わす。 そして、「上野彩音と言います。今年入学したばかりです」と言う。 雅也は彩音の名前を聞くと一瞬驚いたが、それもすぐに収まった。 先程の驚きの顔から今は、とても素敵な笑顔を見せている。 彩音は、少し気になる所もあるけれど、これでやっと祖母の願いをかなえる事が出来ると安堵のため息を吐いていた。 一方ジェラルドの方は、クールな表情をしている。 そして、「よろしく、彩音」とそれだけ言うと、またピアノの方へ歩いていく。 そして、先程とは違うジュピターを弾き始めた。 雅也が、「彩音ちゃんも何か弾いて見るかな。こちらにもう一台ピアノがあるからね」と言うともう一台のピアノの方に彩音を連れていく。 そして、流れるような動作で彩音を椅子に座らせると、ピアノを開けた。
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