犬も歩けば猫に当たる2

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出来ればもう1度逢いたい。会って2人組の女性に対峙した時にちらりと見せた、気遣い以外の不思議な瞳の正体が何かを聞いてみたい。 もしかして職業柄のものなのか?それとも気質?別のもの? そんな不思議な気持ちを残しながらも、たった一度の駅の出会いがそうタイミングよくもう一度起こる事なんてなく、日々舞い込んでくる事案に向かい合っていく内に約束などすっかり忘れていた。 「白臣……蜻蛉……名人か」 あの時聞けなかった名前が意図せず今日判明したが、同時に相手の目的でもあったお礼も終わってしまった。 (ちょっと興味あったから話してみたかったんだけどな) 印象的だったという記憶はあるが、早々興味が何日も持つわけでもない。けれど、自分と働くフィールドが違う人と話をするのは、純粋に面白いし興味がある。 知らない事を知るきっかけにもなるし、いつかその情報が役に立つ日が来るかもしれない。 だから俺は適度に人間関係も楽しんでいるし、人と話をする中で情報を引き出すのは得意だから、いつの間にか仕事でも役立つネットワークを手に入れてる事だって出来る。 その時使えないものでも後々使える事だってあるとならば、この出会いは魅力的に感じると言う訳だ。 相手はネットワーク構築にはもってこい。大口になる事は確定している。 「……」 帰り支度を済ませた受付の子に声をかける。 「ねぇ、ちょっと調べてもらいたい事あるんだけどいいかな?」
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