犬も歩けば猫に当たる

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黒柴先生には色んな噂が付き纏う。真偽を確かめるのも面倒な程に。 超遊び人で付き合った女は星の数とか、高級マンションに1人暮らしなのに誰も部屋に上がらせようとしないとか、株トレードは1時間と決めているくせに絶対に赤字にならないとか。家事能力は低めとか。とにかく色々だ。 先生自体もプライベートには干渉しない代わりに干渉して欲しくないのか、この手の話題や勘繰りはタブーとされている。 同僚の弁護士たちもアメリカナイズな考えの人ばかりだからか、飲みの付き合いがそんなに悪くなければどうしてようが気にしないらしい。 それと、もう1つ。これは鉄の掟。 事務所内の恋愛事情について。 と言っても別に弁護士同士がどうこうする分には構わない。 仕事がおろそかになったり不倫問題に発展すれば例外だが、仮にクライアントに手を出したとしても、アフターケアがしっかり出来て後々に響かない自信があればこれもお咎めなし。 これはちょっと緩い気がするけれど、今までそんな騒動が起こらないところを見ると、他の先生もうまくやっているんだろう。 では何が鉄の掟なのかと言えば、『事務所長との恋愛はご法度』と言う事。 これには黄色い声で先生がカッコいい!と言う分にはセーフ。みんなでご飯を食べに行くと言うのもセーフ。アウトなのはそこに少しでも本気が含まれてしまえば該当される。 現にこのビルの1階総合受付で自称美人受付を名乗っていた女性がアプローチをかけ、コテンパンに振られた挙句、彼から仕事の支障になるからどうにかならないかとビル管理の上役に掛け合って閑職に飛ばされたとも噂されている。 もしこの噂が本当ならば、道理で最近あの女の子を見ないなと思っている気持ちに合点がいくのだけれど。
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